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原産地規則の研究

原産地規則研究は貿易手続簡易化・迅速化にどう貢献するか

 原産地規則には、大きく分けて二つの目的があります。
 一つは、FTA/EPA締約国間又は一般特恵制度(GSP)が適用される途上国からの物品貿易において特恵税率適用の可否について「資格審査」を行うための基準を定めることです。
 もう一つは、国際貿易において取引される物品の「国籍」を決定することで、その「国籍」に基づいて通商法上の規制(例えば、輸入数量制限、ダンピング防止税、国連エンバーゴ措置等)が適用されたり、輸入物品に表示された原産地の正誤判断が行われたりします。前者は特恵原産地規則、後者は非特恵原産地規則と呼ばれます。
 今日までに、様々な技術的な基準が、国際貿易を促進するために簡素化、標準化、調和化されてきています。技術的な規格ではISOのような製品規格がよく知られています。貿易手続に必要な基準に限定してみると、品目分類表としてのHS条約、物品の価額の決め方を定めるWTO関税評価協定などが世界標準として存在します。しかしながら、原産地規則には、特恵・非特恵の両分野において標準化された規則がありません。 
 FTA/EPAによる特恵貿易が大部分を占めるに至った今日、FTA/EPAごとに個別に存在する原産地規則を平易に説明し、理解していただくことで、原産地判断に要する時間短縮、誤判断によるトラブル防止につながり、結果として特恵貿易手続きの迅速化に資すると考えます。